高齢者のヤセは肥満より短命である!

2016年04月06日

高齢者は肥満より痩せていることのほうが、リスクが高いことが指摘されている。これから、高齢化社会に向かって「元気な高齢者をどうやって増やすか」が課題となっている。

ベルギーに本拠をおき栄養と生活の改善を活動課題としているPAインターナショナル主催の国際シンポジウム 「加齢疾患への対応―治療から予防へ」の中で葛谷雅文・名古屋大学大学院教授による報告より編集。

「高齢者は粗食がいい」、「あっさりで低カロリーを心がけることが一番」など高齢者の食事に対して思いがちなこういったイメージは本当に正しいのだろうか? 実は高齢化が進む日本では今、想像以上に『栄養状態に問題のある高齢者が多い』というのです。
 
◆ 深刻な低栄養状態のお年寄りが増えている!

加齢による疾患にたいして「治療」より「予防」に力をいれようという動きがあります。今最も注目されているのは、高齢者の栄養を改善して健康維持を図ること。これによって高齢者の医療費も軽減できるというのです。

ところで「高齢者の栄養」を考えるうえで注目すべきデータがあります。
アメリカで70歳以上の約7500人の生存率を追跡調査したところ、「ヤセの人が、正常と肥満の人よりも早く亡くなっていた」という結果がでました(下グラフ:名古屋大学大学院 地域在宅医療学・老年科学 葛谷雅文教授作成)

体型と生存率.jpg

日本人の65〜79歳の寿命を11年間追跡調査した結果でも、BMI(肥満指数)が「低い」人の死亡リスクが「標準」以上の人にくらべて高いことがわかりました。
普通は、健康にたいしては「肥満」のほうが問題にされている傾向にありますが、こと高齢者に限ってはむしろヤセ、すなわち「低栄養」に注意を払う必要があるのです。

低栄養による栄養障害を抱えている高齢者の割合を調査してみると、「自立した元気な高齢者では1〜5%」なのに、「在宅の要介護認定者では20〜30%」、「老人ホームなどの入所者では30〜50%」にもなるといいます。


◆ 要介護を予防するカギは「栄養補給」

低栄養は死亡のリスクを高めるだけでなく、抵抗力が弱まって肺炎(高齢者にとっては特に危険)などを起こしやすくなります。また傷の回復が遅れたり、貧血、骨粗しょう症などのさまざまなリスクがあります。このため、高齢者が低栄養にならないような栄養管理が大切ですが低栄養それ自体が「要介護」のリスクともなります。

要介護となるのは病気のみならず“虚弱”が要因になっている人がかなりいると指摘されています。では、虚弱」とはどのような状態を指すのでしょうか。

[1]栄養 [2]身体能力障害 [3]筋力低下 [4]うつ [5]身体活動の低下のうちのいずれか3つにあてはまることとされています。この定義からも「栄養」が重要であることがわかります。

 また「虚弱」以外にも、転倒や骨折に大きく影響する「サルコペニア」(加齢による筋力の低下)も要介護となる大きな要因のひとつです。これには運動不足に加えて、たんぱく質の摂取不足が関係しています。つまり、サルコペニアも低栄養(特に、たんぱく質不足)が強く関係しているのです。

サルコペニア比較.jpg

◆ 高齢者に「粗食のすすめ」は正しいのか!?

具体的に低栄養を防ぐにはどのような食事が望ましいのでしょうか?結局は、肉や脂質の摂取不足によって筋肉が衰え虚弱やサルコペニアにつながっています。つまり、高齢者だからこそ動物性たんぱく質と脂質を摂ることが必要なのです。

『肉や卵は健康に悪い』とか『油はいけない』というニュアンスが社会の中に広まり、お年寄の場合、豆腐などの植物性たんぱく質を摂っている人は結構いますが、肉、卵、油を摂らない傾向にあることが問題だと専門家は言います。

さらに脂質は、たんぱく質と同じ量を摂ってもカロリーの摂取効率が良く、食が細くなりがちな高齢者にとって確保しなければならない1日のカロリー摂取量を満たすには好都合です。

もちろん心筋梗塞の経験のある高齢者や糖尿病患者に肉や油の摂取を過度にすすめることはできません。しかし、それがない高齢者においては、かりに40代、50代といった若い頃に健康診断などで肉や脂質を控えるよう指摘されたとしても、それがそのまま70歳、80歳で通用するわけではありません。
高齢になれば条件も変わってくるので、食事における注意や重きをおくポイントも、その年齢に応じて考えなければいけないということなのです。たんなる粗食では危険です。

◆ 高齢者の食事に対する間違ったイメージが蔓延している!

今後、日本人の人口構成のなかで唯一増加していくのは75歳以上の後期高齢者です。これに比例し増え続ける社会負担を軽減していくためにも「生活支援」や「介護」といった対策だけでなく、「自立して生活できる元気な高齢者」を増やしていくことが不可欠な条件となってきました。
このため国としても、高齢者が住み慣れた地域で在宅で暮らしを継続できるようにすることを目指しています。

つまり、「要介護」にならないための予防が最重要視されているのです。特に問題なのは、高齢者の食事に対する誤ったイメージです。このことでかえって要介護になる高齢者を増やしている可能性があります。

@低カロリーが支持される社会の中で高齢者の食事も同じように考えられてきた。

A粗食は高齢者にとってよい。・・・といった誤ったイメージ。

こうした「介護する側の“固定観念”」が低栄養の高齢者を助長しているのではないか、ということが指摘されています。では、高齢者にとって望ましく、いつまでも健康を維持していくための食事とは何なのか? そのことを改めて考えてみるべきでしょう。

【高齢者におすすめのメニュー(1例)】
○肉は脂肪の少ない部位の「もも肉」「肩ロース」「ヒレ」を選ぶ。
○ご飯は茶碗半分〜軽く一膳にし、おかずを多めに。
○オリーブオイルやごま油を火を通さないで(味噌汁に数滴たらす、野菜浅漬けにかけるなど)。
○魚は、塩分が多く身が少ない干物を避け、鮭(ただし、塩鮭はやめる)やサバなど身の量が多いものを選ぶ。

老人食.jpg

◆ 高齢者に対するタンパク質の重要性

たんぱく質は最も重要な栄養素であり、毎日欠かさずに、その必要量を摂らなければなりません。このことに関して高齢者が陥りやすく、しかも間違う点は、1日のたんぱく質必要量を若い頃よりも低くみるきらいがあることです。
もう歳で、カロリーを消費しなくなったからとか、若い人のような筋肉も必要ないからとかで、「あまり肉をとらなくてもいいんじゃないか」と思ってしまうことが多いようです。
 
しかしながら、たんぱく質は体をつくるもとになる栄養素です。日々、細胞や血液を新陳代謝していくうえでは絶対に欠かせません。体重に見合ったたんぱく質量が必要になります。

例えば40代50代で体重が50kgあった女性を例にすれば、このひとが60代になって40kgになったりするでしょうか? それほど極端に減るのは病気でもないかぎりありません。
では70代になったらどうでしょう? 数kgぐらいの変動はあるにしても、中年の頃とそう変わらない体重を維持しているはずです。つまり50kgの体を維持していくには、約50gのたんぱく質量が必要になるのです。

たんぱく質の1日必要量は、年齢にかかわらず体重1sあたり1g必要です。

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posted by shinto at 10:13 | 栄養補給にはプロテイン!